世界の名だたる映画祭で登壇の常連として、今や日本の代表監督ともいえる是枝裕和さん。日本の映画ファンの誇りでもありますよね。最新作の『箱の中の羊』もカンヌ国際映画祭に出品して、賛否両論あるみたいですが、いずれにしても世界中から是枝作品が注目されています。そんな是枝裕和さんの監督作品がなぜこれほど、世界中から称賛を浴びるのか。観客の心をぐっと掴んで離さないのか。是枝作品のファンの一人として、私なりに検証してみますので最後までお読みいただきたいです。
是枝裕和、監督作品のベスト3はこちら
是枝裕和作品 おすすめ第1位『誰も知らない』
2004年、是枝裕和監督42歳の時の作品。今や飛ぶ鳥を落とす勢いの役者、柳楽優弥が14歳でカンヌ国際映画祭の主演男優賞を受賞しています。
ネグレクトの母親が幼い子供4人を置き去りにした実話から、構想15年をかけて映像化されたものです。
学校へも行かせてもらえず、母親の帰りを待ちながら犯罪ギリギリの日常生活を送る子供たちの姿が、日本中を震撼させました。
特に14歳の長男は母親との約束を守り、兄弟の命を守るために自分を犠牲に奔走する場面は切なく、哀しく、やるせない。
日本の華やかな都心にある狭いアパートの密室での出来事で、周りの大人たちは無関心を装い「誰も知らない」と白を切るだけで良いのか・・・。
現代社会の貧困と孤立を子供たちの明るさにのっけて、重い表現にしていないところが是枝裕和さんの監督技術だと感じます。
柳楽優弥を含む、子役4人の兄弟姉妹は俳優としては全くの素人でした。なので、逆に作り過ぎていないリアルな映像になっているのがこの作品の一番素晴らしいところだと思います。
是枝裕和作品 おすすめ第2位『万引き家族』
2018年公開でカンヌ国際映画祭の最高賞、『パルムドール』を受賞した作品です。
血縁関係でない訳ありの人同士が、家族を装って一つ屋根の下で暮らす物語。
わずかな収入と万引きでかっさらった品物がこの家族を支えているが、万引きの指示役が父親で実行犯は子供。
犯罪であるのは間違いないが、この状況を作らざるを得ない一家の家族構成や役割が意味深いです。この作品の核心を是枝裕和さんはやはり、あくまでもライトに表現しているところが天才監督の成せる業です。
”訳あり一家の訳”を一つひとつ紐解いていくが、本来の善と悪だけでは世の中の不条理を見過ごしてしまわないように、是枝裕和さんのメッセージが込められていると思います。
映画なので見る人によって解釈が変わるかもしれないですが、改めて『万引き家族』の是枝ワールドを再確認していただきたいです。
是枝裕和作品 おすすめ第3位『怪物』
2023年公開作品で国の内外から多くの映画賞を受賞しています。
学校のいじめとモンスターペアレント、子供のLGBTなど、現代社会が抱えるコミュニケーションの難しさと繊細さを交錯させたヒューマンドラマです。
「怪物だれだぁ?」と子供の声が響く度に、本当の犯人捜しをするように促されているようにも感じますが、虚空のたわごとなのかとも・・・。
なんだかフワフワと掴めそうで掴めない構成のようにも思いますが、回想シーンを追いかければ、是枝裕和監督の意図することがわかり、複雑な時代の切り取り方が面白いと感じます。
この作品も少年たちの思春期に訪れる、理解されない悩みや行動が自然背景のもとで美しく描かれているところが、是枝裕和さんのこだわりなのかなぁと思います。
私は2回観て、細かいカメラワークなどにも気づかされて作品の評価の高さに納得しました。
そして、母役の安藤サクラの演技力には脱帽です。
以上、私が個人的に選んだ『是枝裕和監督作品 ベスト3』でした。
サブスクで鑑賞できる作品ばかりなので、まだ観ていない人はぜひご覧くださいね。
是枝裕和 作品づくりのこだわりは?
是枝裕和さんは1962年6月6日生まれの現在63歳です。
映画監督のほかに脚本家、ドキュメンタリーディレクターなどの肩書を持ち、大学教授として教鞭を振るわれています。
『遠くへ行きたい』や『アメリカ横断ウルトラクイズ』、『日立 世界ふしぎ発見!』などドキュメンタリー番組のADから業界スタートされた、いわゆる叩き上げ。
映画製作の手法はドキュメンタリー的要素も多く、人間の本質や心の闇を描きつつ「誰かを悪者として表現しない」のが是枝裕和監督のポリシーです。
さすが、ドキュメンタリーを主軸に仕事してこられた方ですよね。
「現実は小説より奇なり」という言葉通り、是枝裕和監督作品は、現代の負の社会問題や少し先の未来に切り込んだ内容がセンセーショナルですよね、いつも。
常に、世の中の事象と傾向の背景から何かを見つけ出して、観客にも考える事を訴求しているように思えます。
映画に出演する子役には台本を渡さず、現場で台詞の説明をして子供自らの言葉で撮影していくのも是枝監督流。
時間と手間を惜しまずに作り続ける姿は、日本人の職人的イズムでかっこいいですよね。
是枝裕和 最新作『箱の中の羊』の評価は⁈
5月29日公開の『箱の中の羊』の出品で、カンヌ国際映画祭のレッドカーペットを歩いた是枝裕和監督。
毎度の事なのでご本人にも余裕が見られましたが、いつもと違うのが映画のテーマです。
是枝裕和監督では初挑戦のSF作品。綾瀬はるかと千鳥・大悟の夫婦が数年前に亡くした息子のヒューマノイドを受け入れるという設定です。
まず、是枝作品に大悟が主演⁈って驚いた方も多いと思いますが、”人間味と表情”で選ばれたらしいです。
ヒューマノイドと大悟というのが一番違和感がありますが、ここはあえてギャップを狙ったのかともみえます。
面白い事に、台詞を覚えない大悟に対して是枝裕和監督はとても寛大。何せ子役の演技方法と同じで、撮影現場で監督が台詞を読み上げ大悟が演じる・・・。
さすが、人の使い方がピカイチですね。
カンヌ国際映画祭では酷評と言われているこの作品。
でも映画は見る人がどう評価するか自由なので、外国人には気づかない日本人の心の琴線に届くものかもしれないので是非鑑賞してみてください。

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